１ 佐野海舟選手の事件について
今日のニュースを見たら、7月14日午前4時すぎ、東京・文京区のホテルで、サッカー日本代表の佐野海舟選手が知人の20代の男と共謀し、30代の女性に性的暴行を加えたという、不同意性交罪の疑いで逮捕されたと報道されていました。
現場から被害女性が110番して駆けつけた警察官に捕まったとのことです。
２ この事件で警察OBが思うこと
この記事を見て警察OBとして思うことは、昨年７月１３日、性犯罪に関して刑法の改正が施行され、警察官が犯人を逮捕しやすくなったということです。
この改正で、「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」が統合され、新たに「不同意性交等罪」が創設されました。
わいせつ行為に対しても、「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」が統合され、新たに「不同意わいせつ罪」が創設されました。
つまり
施行前は、「暴行や脅迫」により、被害者の抵抗が「著しく困難」な状況下で性交等に及んだ場合でなければ、警察も犯人を逮捕することがなかなか難しかったのですが、
施行後は、「同意がない性行為」であることが立証されれば、犯人を逮捕することができますから、佐野海舟選手の事件のように、現場から被害者である女性が、被害直後に被害を訴える110番通報をしたこと。
複数の男性の前での性交は、常識的に同意するとも思えず、被害者が複数の男性に対して怖くて断れなかったと言えば、不同意の信用性も高く、当事者を警察署に任意同行して、身体的な事を調べ性交の事実があったことが立証されれば、間違いなく逮捕されるでしょう。
３ 伊東純也選手の事件との違い
同じサッカー選手で同様の問題になっている伊東純也選手の事件との違いは、被害女性が、被害直後の訴えではなく、後日、警察に準強制性交致傷罪で告訴状を提出したということです。
この事件の発生は、昨年６月の日本代表の試合後のことだそうですから、改正刑法の施行前でした。
ですから、罪名が強制性交罪(怪我をしたということで致死罪も付いていますが)だということです。
この場合の捜査での事件の立証は、同意がなかったということではなく、強制的であったこと、つまり、暴行や脅迫により無理矢理な性交であったかどうかを立証しなければならず、不同意を立証するより難しいのです。
そして、警察への届出まで日数が立っていますので、性交行為の立証も証拠が乏しく困難になります。
４ おわりに
昨年の刑法改正で、「強制」が「不同意」になり、警察は事件を立証しやすくなりました。
だから、今まで以上に逮捕者は増えると思います。
これまで、セクハラで片付けられていた行為が、
不同意わいせつ罪で簡単に捕まえることができるのです。
どうぞ、お気をつけください。
それにしても、 伊東純也選手が事件でサッカー日本代表を外されてしまったということがあったのに、同じサッカー日本代表の佐野海舟選手が何も危機管理されていなかったことが残念ですね。
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